年頭挨拶(令和3年)
(「広報つべつ」令和3年1月号掲載)
問題を克服する年に 津別町長 佐藤多一
町民の皆さま、新年明けましておめでとうございます。いつもの年とは異なり、新型コロナウイルスの収束がいまだ見通せない中、不安を感じる令和3年の年開けをお迎えのことと思います。
昨年1月、中国武漢市から帰国した30代の男性が、国内最初の感染者として発表され、現在、感染拡大は第3波を迎え、感染者数はとどまるところを知りません。第1波の頃から見ますと、人々の警戒心がやや薄れているようにも感じますが、特に体力が落ちた高齢者の死亡率が上昇しているため、今一度しっかりした予防を心掛けて欲しいと思います。
さて、平成30年7月に策定しました「津別町複合庁舎建設等まちなか再生基本計画」に基づき、今年3月に役場複合庁舎と消防庁舎が完成します。この建物は、計画の第一段階にあたるものですが、2棟の完成により町並みの変化が少し見えてくると思います。この事業の目的を計画書に次のように記載しています。
「近年は、急速な人口減少、少子高齢化、商業機能の低下、空き家・空き店舗の増加、および地域活力の減退により中心市街地のにぎわいが低下しています(略)町民、地元企業、まちづくり団体、行政等が10年後のまちなかの将来像を共有・連携しながら効果的かつ持続的にまちづくりを推進し、まちなかの活性化を図る」としています。
コロナ禍の中、東京の人口に変化が出始めたことが報道されています。はじめて転出が転入を上回ったようです。リモートによる仕事の形態変化やふるさと回帰が進み始めているようですが、何も自然は遠くの田舎にばかりあるものではなく、近隣県の市町村にもあります。仮に、彼らが津別町への移住を選択する場合、一体何を基準にするのでしょうか。自然環境や人の温かみなども勿論あると思いますが、仕事、住宅、医療、子育て、教育、買い物環境など居住に必要な基礎的インフラが整備されているかどうかも大きなポイントになると思います。
ずいぶん昔になりますが、吉幾三が「テレビも無エ、バーも無エ、俺らこんな村いやだー、東京へ出るだー」と歌っていました。これが「インターネットも無エ、病院も無エ、商店もすく無エ」では、この町で生まれ住む人も含め、住み続けることに躊躇するのではないでしょうか。そうした思いから、まちなかを再生していくことは、津別町が持続可能な町であるための必要な計画であると考えます。
また、5Gやソサエテイ5.0と呼ばれる時代に突入した今、世界はスピードを上げながら変化しています。立命館アジア太平洋大学学長の出口治明先生は著書の中で、「社会の変化のスピードが速いので、知識はどんどん陳腐化する。今後は考える力のウエイトが圧倒的に高くなる」と述べています。続く未来のためには、噛みしめるべき言葉だと思います。
結びに、昨年の干支は「子(ね)」で、ねずみ算という言葉から子孫繁栄を期待しましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を連想させる言葉となってしまいました。
今年の干支は「丑(うし)」ですが、「我慢」や「発展の前振れ」の年と言われています。「問題を克服する年」であることを願いつつ、本年が希望の持てる年になりますようご祈念申し上げ、年頭のご挨拶といたします。
更新日:2023年03月24日